こんにちは!涼水咲里です。
シリーズ第2章へようこそ。
第1章の前回は、カサンドラ症候群の基本についてお伝えしました。
今回は、多くの方が誤解している「カサンドラと発達障害の関係」について、丁寧に見ていきたいと思います。
カウンセリングでよく聞くのが、「夫は発達障害だから、もう諦めています」という言葉。
でも、本当にそうなのでしょうか?
もっとも多い思い込み
カサンドラ症候群について調べていると、必ずと言っていいほど目にする「パートナーが発達障害(特にASD)」という情報ですね。
もちろん、これは間違いではありませんよ。
でもこれを目にしただけでは多くの方が、
「夫が発達障害=カサンドラ症候群」
だと思い込んでしまうのですよね。
実はこれ、大きな誤解でもあるのです。
セッションでも、この思い込みで苦しんでいる方を本当にたくさん見てきました。
そして、
「夫は発達障害だから、変わるはずがない」
「私はこの人とは一生わかり合えない」
このように諦めてしまっている方が、とても多いのです。
でも、今回お伝えすることを知れば、その諦めから抜け出せるかもしれません。

【用語についての補足】
このシリーズでは「アスペルガー症候群」という言葉を使いますが、現在は「ASD(自閉スペクトラム症)」と呼ばれています。
また、「発達障害」は近年「神経発達症」という呼び方に変わりつつあり、アスペルガー症候群という診断名も、現在は正式には使われていません。
そして、ここでいう発達障害はグレーゾーンの方も含むとお考えください。
わかりやすさを優先して広く知られている呼び方も使いますが、ご了承くださいね。
発達障害ってなに?

まず、簡単におさらいしておきましょう。
発達障害というのは、生まれつき脳の機能に発達における偏りがあり、生活や学習に何らかの問題が生じる状態のことです。
大切なのは、
- 親の育て方が原因ではない
- 精神疾患でもない
- 一つの個性として捉えることができる
ということなのです。
発達障害の種類
発達障害には、いくつか種類があります。
●ASD(自閉スペクトラム症)
主な特性:
- コミュニケーションの難しさ
- 社会性の課題
- こだわり行動
対人関係につまづきやすい傾向にあります。
●ADHD(注意欠如多動症)
主な特性:
- 不注意
- 衝動性
- 多動性
落ち着きがなかったり、物をよくなくしたり、整理整頓が苦手という行動面の特性があります。
●その他にも
学習障害(LD)、発達性協調運動症、チック障害なども発達障害に含まれます。
パートナーシップで問題になりやすいASDの特性
カサンドラ症候群とよく関連付けられるのが、ASDですね。
知的な遅れはなく、外見上の特徴もほぼありません。
それゆえ周囲から理解されにくく、誤解や偏見が生じやすいとも言われています。
では、どのような特性があるのか、もう少し詳しく見ていきましょう。
●子どもの頃から見られる特徴
- 空気が読めない
- 集団行動が苦手
- 過集中
- 興味の限定
- 感覚過敏
●大人になってから問題視される特徴
- その場にそぐわないことを言う
- 冗談や比喩が通じない
- 暗黙の了解が理解しにくい
- 臨機応変が苦手
- 決まった手順にこだわる
- 独特な言葉遣いをする
- 白黒はっきりさせないと気が済まない
- 損得や合理性で正しさを決める
もちろんこれだけではありませんが、こういう特性があると、周囲や仕事内容になじめないことも多くなります。
そして、ご本人も生きづらさを感じていることが多いのです。
生活を共にする上で問題になるADHDの特性

実は、ASDだけでなく、ADHD(注意欠如多動症)もパートナーシップで問題を引き起こすことがあります。
ただし、ASDが「情緒的な交流」の問題だとすると、ADHDは「生活面」での問題が中心です。
●ADHDの基本的な特性(おさらい)
ADHDには、3つの主な特性がありましたね。
- 不注意:忘れっぽい、注意が散漫
- 衝動性:考えずに行動・発言してしまう
- 多動性:じっとしていられない、落ち着きがない
●生活を共にする上で問題になりやすい点
ADHDの特性が、日々の生活でどう影響するか、具体的に見てみましょう。
不注意による問題:
- 大事な約束を忘れる
- 話を聞いていない(聞いているつもりでも頭に入っていない)
- 物をなくす(探せない、見つけられない)
- 家事や育児を任せられない
- 整理整頓ができない
衝動性による問題:
- 考えずに発言して相手を傷つける
- 衝動買いで家計を圧迫する
- 計画性がない
- 怒りのコントロールが難しい
多動性による問題:
- 落ち着いて話を聞けない
- 相手の話を遮ってしまう
- 一つのことに集中できない
●「だらしない」「無責任」と責められる苦しみ
ADHDの特性を持つ方は、こういった行動がわざとじゃなくて、本当に忘れてしまうのです。
なのに周りからは、
- だらしない
- やる気がない
- 私のことを大切に思っていない
と責められてしまう。
ご本人も苦しんでいることが多いのです。
●ADHDも個性であり、才能
ADHDの特性も、見方を変えれば、
- 好奇心旺盛で行動力がある
- 発想が豊か
- エネルギッシュで活発
という強みになります。
起業家やクリエイティブな仕事で活躍している方の中にも、ADHD特性を持つ方が多いのが事実です。
発達障害は悪者ではない

このようにASDやADHDの特性は、見方を変えれば高い能力を発揮できるということでもあります。
実際に、社会的に素晴らしい活躍されている方の中にも、こういった脳の特性を持つ方はたくさんいらっしゃいます。
発達障害だから劣っているわけでは全くないのです。
個性であり、才能でもある。
ただ、パートナーシップという
「情緒的な交流や思いやりが必要な関係」(ASDの場合)
「日々の生活を共に営む、約束や責任を共有することが求められる関係」(ADHDの場合)
において課題が生じやすいのです。
レッテル貼りとラベリングの違い

ここで、どうしてもお伝えしたいことがあります。
それは、「レッテル貼り」と「ラベリング」の違いについてです。
この2つは似ているようで、全く異なるものなんですよ。
●レッテル貼りとは
レッテル貼りとは、見下しや非難、良くない先入観を含んだ決めつけのことです。
例えば、
- 「夫はアスペだから、何を言っても無駄」
- 「発達障害だから、変わるはずがない」
- 「だからダメなんだ」
このように、否定的な評価と共に枠組みに押し込めてしまうこと。
これは、その人自身を見ていないのと同じことで、
- その人の個性や魅力が見えなくなる
- 本当の問題が見過ごされてしまう
- 解決の道が閉ざされてしまう
のです。
発達障害があったとしても、その人の性格や価値観は千差万別。
魅力的な人、才能がある人、精神的に成熟している人だってたくさんいます。
「あの人は○○だから」と決めつけることで、自分の可能性も閉ざしてしまうことになりかねません。
●ラベリングとは
一方、私がよくセッションで話しているラベリングとは、それとは全く違うものになります。
ラベリングとは、発達障害とは一旦切り離して、その人の個性として、その人の人物像としてフラットに見つめることを指します。
例えば、
- 「こんな時にこういう反応をする傾向がある」
- 「こういう状況が苦手なんだな」
- 「じゃあ私はどう関わろうかな」
このように、評価を加えずに、ただ観察して知ろうとする姿勢です。
●レッテル貼りは良くないけど、ラベリングは大事
レッテル貼り:否定的な決めつけ → ❌ 避けた方がいい
ラベリング:フラットな理解と観察 → ⭕ とても大切
ラベリングができると、
- 相手の特性を客観的に理解できる
- 感情的にならずに対応できる
- 適切なコミュニケーション方法が見えてくる
- 自分自身も楽になる
このように道が開けてきますよ。
「夫は発達障害だから」というレッテル貼りと、
「夫はこういう特性のある人だ」というラベリング。
この違いは、とても大きいのです。
偏見は相手も自分も傷つける
私はこれまで、偏見や無理解がどれほど人を傷つけるか、たくさん見てきました。
知らないということは、相手を傷つけるだけでなく、結局は自分自身も傷つけてしまいます。
だからこそ、正しい知識を持ち、レッテル貼りではなくフラットなラベリングで相手を理解することが大切なのです。
また、Webテストや自己判断では、本当のところはわかりません。
なぜなら、
- 「発達障害」と「愛着やパーソナリティの問題」は見分けがとても難しい
- 複数の問題が重なっていることも多い
- たくさんの知見が必要
だからです。
問題は多層構造になっている

実は、人の心や行動の問題は、原因がひとつだけではありません。
例えば、
- 発達の特性を持っていて
- そのストレスからうつや適応障害になって
- 実は愛着の問題も抱えていて
- さらにパーソナリティの課題もある
というように、何層にも重なっていることが多いのです。
だからこそ、「発達障害だから」と単純に片付けてしまうのは危険なのですね。
こうした複雑な心の問題について、私の著書でも詳しくお伝えしています
📖 -「わたし」が壊れる前に読む本-読むだけでふわっと心が軽くなる カサンドラ症候群のやさしいガイドブック](Kindle版)
「なぜこんなに苦しいの?」と感じている方に、心の仕組みを知っていただきたくて書きました。
実際どうすればいいの?
ここまで読んでくださってありがとうございます。
「じゃあ、実際どうすればいいの?」
と思われた方もいらっしゃると思います。
それについては、次回詳しくお伝えしますね。
実は、カサンドラ症候群を引き起こす原因には、「愛着の機能不全」 が関係していることがほとんどです。
夫側にも、妻側にも、です。
こう聞くと、
「発達障害じゃなくて愛着障害なの?」
「やっぱり私に問題があるの?」
と思われてしまったかもしれませんが、そうではありません。
特に「回避型愛着スタイル」を持つ方が、ASDと間違えられやすいこと、
また、パートナーに特性があっても、カサンドラになる人とならない人がいる事実。
この辺りをお伝えできればなと思っています。
今回のまとめ
今回お伝えしたことは、
- 「カサンドラ=発達障害の夫」は誤解
- ASDとADHDの主な特性
- レッテル貼りは危険
- 問題は多層構造
- 愛着の機能不全が原因の場合がある
ということです。
「夫は発達障害だから」と諦めていた方も、もしかしたら道が開けるかもしれません。
あなたの苦しみには、必ず理由があります。
そして、理由がわかれば、解決への道も見えてきますよ。
次回予告
次回は、愛着のスタイルについて深掘っていきましょう。
- 愛着って何?
- 回避型愛着スタイルの特徴
- ASDと回避型の違い
- なぜ回避型が生まれるのか
- より複雑な「恐れ回避型」について
このような視点からお伝えしていきますね。
楽しみにお待ちください!
一人で悩まないでくださいね

この記事を読んで、「私は一体どうしたら…」と思った方へ。
どうか一人で抱え込まないでください。
私も30年以上、誰にもわかってもらえない苦しみを抱えてきました。
だからこそ、あなたの辛さが痛いほどわかります。
あなたの凍りついてこわばってしまった心をゆるめて、安心安全な心の置き場を、一緒に見つけていきませんか?
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どんな小さな悩みでも大丈夫です。
どうぞお気軽に話しにいらしてくださいね。
📖 「頑張りすぎてしまう」あなたへ
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そう感じている方に読んでいただきたい一冊です。
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「なにかがおかしい」と感じている方に読んでいただきたい一冊です。
あなたとお話ができることを、心からお待ちしております。

