カサンドラの背景にある回避型愛着スタイル【正しく知ろう!全5回シリーズ③】

こんにちは!涼水咲里です。

前回は、「カサンドラ症候群=発達障害のパートナーを持つ人」という誤解について、詳しくお伝えしました。

また、発達障害とカサンドラの関係は、思っていたよりも複雑だということもお伝えしましたね。

今回は、カサンドラ症候群の原因として、見逃されがちだけれど、とても大きな要因である愛着の問題、特に「回避型愛着スタイル」について、丁寧に見ていきましょう。

カウンセリングの現場で見えてきたこと

私は夫婦問題を扱うカウンセラーとして、「夫が発達障害だと思っているんです」という方と毎日のようにお話しをしています。

その中には、

  • 夫が向き合おうとしてくれない
  • 話し合おうとしても黙り込んでしまう
  • 私を避けて自室に引きこもる
  • 急にキレて大声を出す
  • 私の話を聞かずスマホやテレビばかり見ている

このような、孤立感や孤独感に繋がるようなお悩みが多く聞かれます。

当然ですよね、パートナーがいるのに孤独だなんて、悩まないわけがありません。

この、何か不快なことを避ける行動を「回避行動」と言いますが、これはASDの特性だけでなく、愛着に問題を抱えている方にもとてもよく見られることです。

さらに深くお話を聞いていくと、パートナー側の幼少期の辛い経験や家族関係も見えてきて、

「発達特性がなくても、こうなっちゃうよね」

と思うこともしばしばあります。

つまり、発達特性(ASD)のように見えている部分が、実は「その人がとる愛着のスタイルだった」という可能性も捨てきれないのです。

そして、ASDだからといって、必ずしも回避行動をするわけでもありませんし、どちらの問題も両方抱えている可能性だってあるわけです。

このように、発達障害と愛着の問題は、どちらかひとつではなく、両方が重なっていることがあるのですね。

ここで大事なのは、カサンドラの問題においては愛着の問題は見逃されやすいけれど、とても重要な要因だということ。

だから、今回お伝えする内容は、きっとあなたの見方を大きく変えるはずですよ。

「愛着」って何?

まず、「愛着」とは何か、確認しておきましょう。

愛着(アタッチメント)とは、安心して人とつながるための心の土台のことです。

人は生まれてから、主に母親(または主な養育者)との関係の中で、この「愛着」を形成していきます。

  • 空腹のときに、お腹を満たしてもらえた
  • 怖くて不安なときに、抱きしめてくれた
  • 甘えたいときに、優しく受け入れてもらえた

幼い頃からのこのような経験の積み重ねの中で、

「この人は自分を守ってくれる」

「困ったら甘えてもいいんだ」

「自分は愛される存在なんだ」

という安心感が育っていくのです。

この安心感こそが、「愛着」です。

そして、幼少期に形成された愛着のパターンは、大人になってからの人間関係、特にパートナーシップに大きく影響すると言われています。

愛着の3つのスタイル

愛着には、大きく分けて3つのスタイルがあります。

それぞれの特徴をいくつか挙げてみますね。

1. 安定型

  • 人を信頼できる
  • 困った時に助けを求められる
  • 親密な関係を築ける
  • 適度な距離感を保てる

健全な愛着が形成された状態といえます。

2. 不安型

  • 嫌われるのが怖い
  • 相手にしがみつく(依存、執着しやすい)
  • 相手の気持ちを確認したくなる
  • 一人でいると落ち着かない

愛着の対象(親)が不安定だったり、一貫性がなかった場合に形成されやすいパターンです。

3. 回避型

  • 感情表現が苦手
  • 親密になることを避ける
  • 一人でいることを好む
  • 本音を見せない

カサンドラ症候群を引き起こすパートナーに最も多いのが、この「回避型」なのです。

回避型愛着スタイルの特徴

回避型の愛着スタイルを持つ方はどんな特徴があるのか、さらに詳しく見ていきましょう。

パートナーシップにおける特徴

<情緒的な交流が少ない>

  • 何気ない会話が広がらない
  • 感情を共有しない
  • 共感的な応答がない

<ひとりの時間を優先する>

  • 休日も別々に過ごしたがる
  • 部屋にこもりがち
  • 何も言わずにいなくなることがある

<親密になることを避ける>

  • 深い話をしたがらない
  • スキンシップを拒む
  • 距離を取ろうとする

<頼ることができない>

  • 困っていても助けを求めない
  • 弱みを見せない
  • 自己完結しようとする

● 職場では問題ない場合が多い

ここも重要なポイントですが、回避型の方は職場では問題なくやれることが多いのです。

なぜなら職場は、

  • 情緒的な交流が必要ない
  • 適度な距離感が保たれている
  • 「仕事」という明確な役割がある

からです。

だから、周りから特に問題はないように見えるのですね。

ですがパートナーシップという情緒的な交流が必要な関係では、問題が生じやすい傾向にあるようです。

ASDと回避型、どう見分ける?

「じゃあ、ASDと回避型って、どう違うの?」

そう思われますよね。

実は、見分けるのはとても難しいのです。

似ているところ

  • 情緒的な交流が少ない
  • 共感的な応答が乏しい
  • 一人を好む
  • 空気が読めないように見える

違うところ(目安)

ASDは、

  • 生まれつきの脳の特性
  • 子どもの頃から特性が見られる
  • 社会性やコミュニケーションの困難が広範囲
  • 避けていると思っていない、それが自然

一方、回避型愛着は、

  • 養育環境で形成される
  • 大人になってから顕著になることもある
  • パートナーシップなど親密な関係に限定される場合がある
  • わかるけど避けてしまう、好まないから避けている

ただし、これも一概には言えません。

実際には、両方の要素が重なっていることも多いと感じています。

回避型が生まれる背景

では、なぜ回避型愛着スタイルが形成されるのでしょうか?

共感的な応答が少ない養育環境

回避型が形成される大きな要因は、共感的な応答が少ない養育環境です。

例えば、

  • 泣いても、なぐさめてもらえない
  • 話しかけても、反応が薄い
  • 感情を表現しても、受け止めてもらえない
  • 「泣くな」「甘えるな」と言われる
  • 養育者(親)が忙しくて、かまってもらえない

こんな環境で育つと、子どもはこのように学習します。

「頼っても無駄だ」

「感情は出してはいけない」

「自分一人で何とかしなければ」

そして、情緒的な交流を避け、自己完結する生き方を身につけていくのです。

親も回避型だったかもしれない

回避型の愛着スタイルは、世代を超えて引き継がれることがあります。

親自身が回避型だった場合、共感的な関わり方がわからず、結果として子どもも回避型になってしまう。

これは誰が悪いということではなく、連鎖ですね。

さらに複雑な「恐れ回避型」

回避型にも種類があります。

その中でも、パートナーシップで最も問題を引き起こしやすいのが「恐れ回避型」です。

恐れ回避型とは

回避型愛着スタイルの方は、情緒的な交流に興味がなく、必要としないことがありますが、

恐れ回避型は、「本当は愛されたい」「でも怖い」のです。

この違いはとても大きく、パートナーが振り回されるだけでなく、本人にも必ずと言っていいほど生きづらさが生まれてしまいます。

恐れ回避型の特徴

恐れ回避型の方は、心の中で大きな葛藤を抱えています。

深く関わりたいのに、深く関わって傷つくのが怖いので、近づいたはいいものの、「相手は自分を嫌っている」「どうせ愛してもらえない」という決めつけをしてしまい、回避の理由にしてしまうのですね。

愛されたい気持ち拒絶される恐怖が同居している状態で、この葛藤が、いわゆる「試し行為」を引き起こします。

試し行為(試し行動)とは

試し行為は、本来、子どもが親の気を引くためだったり、親の愛情を確認するために行われるものですが、子ども時代にこの試し行為をしっかりと受け止めてもらえていないと、大人になってからもパートナーに対して繰り返してしまうと言われています。

わざと相手を困らせたり、心配させる行動をしたり、自分を卑下することを言ったりして、相手の反応から自分が愛されているか確認しようとしてしまうのです。

発達性トラウマという視点

ここでもうひとつ、最近よく言われているのが、「発達性トラウマ障害」という概念です。

これは、虐待やネグレクトなど、幼少期に慢性的に過酷な養育環境におかれたことで、心と脳の発達に影響を受けてしまっている状態のことです。

発達性トラウマがあると、

  • 愛着障害が生じる
  • 感情のコントロールが難しくなる
  • 激しい他責思考や自己否定に陥る
  • 対人関係に深刻な問題が生じる
  • 一見、発達障害のように見えてしまう

ということが起こります。

このように、発達性トラウマによって愛着障害が引き起こされ、それが発達障害と誤解されることもあるのですね。

つまり、「発達障害だと思っていたら、実は発達性トラウマと愛着の問題が絡み合っていた」ということも考えられるのです。

こうした複雑な心の構造について、私の著書でも詳しくお伝えしています

📖 -「わたし」が壊れる前に読む本-読むだけでふわっと心が軽くなる カサンドラ症候群のやさしいガイドブック](Kindle版)

「なぜこんなに苦しいの?」と感じている方に、心の仕組みを知っていただきたくて書きました。

愛着スタイルは変えられるの?

ここまで読んで、こんなふうに思われた方もいらっしゃるかもしれません。

「愛着のスタイルって、幼少期に形成されたものなんですよね?」

「じゃあ、もう変えられないんじゃないの?」

いいえ、安心してください。

愛着スタイルは、大人になってからでも変化していきますよ。

● 変化のきっかけ

愛着スタイルが変化する主なきっかけは、

1. 新しい安全な関係

  • カウンセリングなど、安全で信頼できる関係の中で癒される
  • パートナーとの健全な新しい関係

2. 自己理解

  • 自分の愛着スタイルを知る
  • なぜそうなったのかを理解する
  • パターンに気づく

3. 継続的な取り組み

  • 少しずつ、新しい関わり方を試してみる
  • 小さな成功体験を積み重ねる

回避型の方が変化するには

回避型の愛着スタイルを持つ方が変化するためには、まず「自分は回避型かも」と自覚することが大切です。

そして、安全な環境の中で、少しずつ心を開く練習をしていきます。

これは、一人では難しいことが多いですから、専門家のサポートを受けながら、ゆっくりと取り組んでいくことが必要です。

あなた自身の愛着スタイルも大切です

そして、パートナーの愛着スタイルだけでなく、あなた自身の愛着スタイルも見つめてみましょう。

カサンドラ症候群になりやすい方は、不安型の愛着スタイルを持っていることがとても多いと感じています。

  • 見捨てられ不安がある
  • 相手に依存、執着してしまう
  • 自分を犠牲にしてまで尽くす

など、このような不安を動機とした思考や行動が習慣になっていませんか?

そして、不安型と回避型は、「追求(追及)する人」と「かわす人」の関係性になってしまい、

追えば追うほど相手は離れて行く

不安や不満がでる

また追う

やっぱり相手は逃げる

この無限ループを繰り返す生活にどちらも疲弊してしまいます。

だから、この悪循環を断ち切るためにも、あなた自身の愛着スタイルにも向き合って、知っておく必要があるのです。

今回のまとめ

今回お伝えしたことは、

  1. カサンドラの問題には愛着のスタイルも関係している
  2. 特に「回避型愛着スタイル」を持つパートナーとの間で生じやすい
  3. ASDと回避型は見分けが難しい
  4. 「恐れ回避型」はより複雑で、関係が破綻しやすい
  5. 発達性トラウマという視点もある
  6. 愛着スタイルは変化させることができる
  7. あなた自身の愛着スタイルも見つめることが大切

という、盛りだくさんの内容になりました。

「発達障害だと思っていたけれど、愛着の問題も大きく関わっていたのか」

そう気づかれた方もいらっしゃるかもしれませんね。

発達障害であっても、愛着の問題であっても、あるいは両方が重なっていても、

知ること、理解することで、関わり方が見えてきますよ。

あなたの苦しみには、必ず理由があります。

そして、原因が何であれ、理解しようとすることで、道は開けるのです。

次回予告

次回は、カサンドラ症候群の概念とは少し離れてしまうかもしれませんが、ご相談内容でとても多い、パーソナリティ症(障害)について少しだけ触れておきたいと思います。

  • パーソナリティ障害とは
  • 夫婦間でよく見られる疑念
  • 自己愛性パーソナリティ障害
  • 境界性パーソナリティ障害
  • あなたのパートナーは大丈夫?

このような視点でお伝えする予定です。

楽しみにお待ちくださいね!


一人で悩まないでくださいね

この記事を読んで、「私のことかも…」と思った方へ。

どうか一人で抱え込まないでくださいね。

私も30年以上、誰にもわかってもらえない苦しみを抱えてきました。

だからこそ、あなたの辛さが痛いほどわかります。

あなたの凍りついてこわばってしまった心をゆるめて、安心安全な心の置き場を、一緒に見つけていきませんか?

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「なにかがおかしい」と感じている方に読んでいただきたい一冊です。

あなたとお話ができることを、心からお待ちしております。